16分音符の響き~チャカチャカチャカチャカ~

こんばんは。

 

早いもので6月です。今年も紫陽花の季節だなと、お散歩していると思います。ということは、もうそろそろ夏も本格化。夏バテを乗り切らねばなりません。

 

さて、みなさんはこの動画を知っていますか?

Watch THE D SORAKI killing the BEAT at World Final 💪 - YouTube

レッドブルが主催しているダンス大会の優勝者の動画です。

何人かが同じフリをしているわけでもなく、無理に惹きつけようとするものでもなく、曲に合わせて感情やエネルギーがダンスとして表現されているように思えます。

 

彼は、インタビューの中でこう語っています。

「27歳でスーパーボウル」19歳の世界王者“THE D SoraKi”のダンス哲学「アーティストと同じ地位になった時に自分は死ねる」 - 他競技 - Number Web - ナンバー (bunshun.jp)

 

「音楽がかかってたら、体を揺らしたりリズムに乗るじゃないすか。それだけでダンスです!踊ってます!ってみんなに伝えたいですね」

 

裾野の広さと、受け入れる広さ。

彼のダンスから、彼のフィールを感じられるのには、こういう考えがもとにあるんだろうなと思います。もちろん、素人の私にはわからないような技術やスキルはあるでしょう。

 

さて、彼はこのように言っています。

「こうやってトゥッ、トゥッ、トゥッって動かすのを毎日頑張って続けて、関節の動きを脳の中に入れていく。そうすれば誰でもできますよ」

誰でもなのかは分からないが、少なくとも上達する人は毎日、丁寧に基礎を反復して、いつでもどこでも、それを再現できるようにしている。これこそがプロフェッショナルの在り方だろう。

 

さてさて、彼のパッション溢れるダンスは、素晴らしい名曲、それもドラムの素晴らしい演奏に合わせてなされている。

この曲は、ダイアナ・ロスのI'm Coming outという曲です。

I'm Coming Out - YouTube

 

Chicのメンバー(ナイル・ロジャース、バーナード・エドワーズ、そして、トニー・トンプソン)が参加し、ロジャースとエドワーズがプロデュースを行っている。

ナイル・ロジャーズは数多くのプロデュースを行っている。

有名どころだけでも数えきれないが、差し当たりこの二つを挙げておこう。

Madonna - Like A Virgin (Official Video) - YouTube

Daft Punk - Get Lucky (Official Audio) ft. Pharrell Williams, Nile Rodgers - YouTube

 

さて、先のドラムはトニー・トンプソンによるものだ。曲名を踏まえてか、どうのかは分からないが、単なる16ビートってことはなく、心が開けていくような、この後どのような展開が来るのだろうかと思わせるような、変則的な展開。チャカチャカチャカチャカ…

 

僕はこのチャカチャカが大好きなのだ。

16分音符が彩るカッティングが大好きなのだ。

 

変則的なドラムの後ろでじみーにチャカチャカチャカチャカ。対照的に、同じようなカッティングを…本当だろうか?

 

ギターの花形というと、ギターソロや印象的なイントロかもしれない。歪ませたギターにキュイーンとチョーキングロングトーン。うむ、それはそれでよい。

 

でも、違うのだ。かっこいいのはそれだけじゃない。

カッティングなのだ。

あの、チャカチャカチャカチャカやってるカッティングの奥はとんでもなく深いのだ。

 

ナイル・ロジャーズは、ソロをキュイーンとやるタイプのギタリストではない。むしろ、ベースのバーナード・エドワーズのベースはベチンベチンと、ベースソロもかっこいいのだ。

でも、いつまでも聴いていたくなる、それが彼のカッティングなのだ。

 

よく聞いてみてほしい。すこーしずつ、16分音符の振り方が異なっているのだ。

16分を正確に聞き分けるのは私は正直できていないのだが、辛抱強く聴き分けてみると、お、ここは少し音が足されているな、音の強弱がさっきと違う、ゴーストノートの振り方が違うなどなど。

 

演奏してみると、彼と全く同じ演奏をすることがいかに難しいか、よく分かる。正確な譜面を手に入れることが大事であるが、それ以上に、フィーリングなのだ。

ロックンロールはダンスミュージックであることを思い出すのだ。ディスコで踊るのだ。

 

チャカチャカチャカチャカ…カラダから溢れるリズムをギターにのせて、チャカチャカチャカチャカ。今日も僕は地味なそれをチャカチャカチャカチャカ。多くの人はそんな違いに気付かないだろう。その違いを出すことによる印象をなんとなーく感じるくらいなのだ。それがプロの技だ。

 

ゆっくりやってみる、一つ一つ丁寧にやってみる…

だから、基礎が固められ、通常の速度でも、それ以上の速度でも、再現でき、応用できるのだ。

 

カッティングはフィーリングじゃない。丁寧な譜割と、リズム感、これらを踏まえて、展開していく面白さがある。でも、最後は、技術を踏まえて、フィーリングやセンスを踏まえて、展開していく。ノレるのだ。あなたの心の声が、チャカチャカを通して、私に響くのだ。私もまた踊りだす…

 

得てして、心の声などを直接聞こうとすると、どろどろとしたものを見て、どうしようもないと、さじを投げてしまうものだ。

あなたの心の声が、表現するものを見てみよう。そのかたちから、心の声の影を見てみる。

それが全てだ。

 

今宵も、チャッチャカチャッチャカ。私の心の声はあなたに届くだろうか。あなたの心も踊りだしてしまうだろうか

 

以上