満足度の高い法務相談ー回答編ー

法務担当に相談する者の満足度を上げる方法は2つある。

ひとつは、相手の意向に沿った回答をすることである。当然、それがリーガルな筋道を立てて思考したものでなく、故意にそのような回答を量産するようであれば、直ちに異動願を出すべきであろう。

ふたつに、質問されたことにできるだけ早く回答することである。これには2つの要素があって、できるだけ早いこと、そして、そもそも質問されたことに応答することである。Aは違法か?Aは違法である・ない、と答えることである。この解答には、現時点ではAが違法かどうかは裁判をやってみないとわからないと結論付けることも含まれる。

 

法務に相談する動機や理由は複雑で多様であると思う。そのなかでも、筋道立てて考えられる人たちに頼りにされる回答として、私が重要視していることがある。

それは、上記に加え、相手の直観を踏まえ回答し、プラスアルファの情報や論点を示すことである。

例えば、相談者がAは法的に差し支えないかと質問した場合、事実を整理した上で、考えてらっしゃるとおり○○であることを踏まえると、差し支えないものといえます、など一言添える。もちろん、主張に該当する部分や結論がずれている場合もある。この場合は、さきほどおっしゃっていた○○という事実が重要であり、当該事実を踏まえ、○○法の規定を踏まえると、Aは法的に問題があると言わざるを得ないですね、など。

 

これらの発言の後、相手方とのやり取りが一巡し、納得乃至理解していただき、その後、余談ですがと切り出す。例えば、Aであれば難しいが、Bという方法であれば問題ないと考える、事業対象を再考してはどうかなど。あるいは、先日Xという事例があり、その場合は問題ないとした、これを参考としてはどうかなど申し添える。他のバリエーションとして、上の判断としてαを重要視しているならば、むしろβという案もあるが、こちらについては検討してみてはいかがか、など。できる範囲で情報乃至論点を申し添える。

 

できる職員は良質の情報を持っていることも多い。会社内に味方が多いに越したことはないと思うがいかがだろうか。また、頼りにされるということは、頼りにできるということでもある(そういう職員に限るわけだが。)。キーパーソンに頼るだけではなく、キーパーソンに頼られる法務担当を目指していきたいところ。